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映画「ゴジラ−1.0/C(マイナスカラー)」を観た!

kaimi
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感想は、ぶらっくうっどが書いてます。よろしくお願いします。

なんだかんだで「ゴジラ-1.0」については色々書かせていただいておりますので以前の記事はこちらを参照。

映画「ゴジラ−1.0」感想・・・の前に、これまでのゴジラ映画の感想

映画「ゴジラ−1.0」感想

映画「ゴジラ-1.0」海外の反応について

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カラー製作の映画を、白黒版にした映画について

  カラー製作された映画をわざわざ「白黒版」を作るという試みは、以前にもありました。

 それが「『マッドマックス 怒りのデス・ロード <ブラック&クローム>エディション』」です。

 これはジョージ・ミラー監督が無声映画時代のバスター・キートンの映画などに憧れていたという背景があります。

 そして現在大評判の「ゴジラ-1.0」にも白黒版が作られることになりました。

 私は、ゴジラの1作目くらい、荒い画質に作られるのかなと思ってました。

 理由はいくつもありますが、そもそもの元祖「ゴジラ(1954)」が白黒映画であったため、よりその雰囲気に近づける意図があったと思われます。

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 黒澤明監督はそのキャリアの大半が白黒映画でした。

 単に古いからというだけではなく、技術的にカラー映画が可能になった後にもなかなかカラー映画に移行せず、白黒映画を撮っていたのです。

 理由としては、画面の隅々までコントロールを行き届けたい監督としては、単一色ならばそれが可能であっても、カラーになるとそれが難しくなるから…と言う説があります。

 鮮やかな紅葉のシーンを普通に撮影してもそう見えないために、葉を真っ黒に塗った(そうすると白黒画面では見事な紅葉に見える)とか、土砂降りの雨に墨汁を混ぜた(白黒画面では以下略)といった説があります。

 いざカラー映画となると「どですかでん」とか「夢」みたいに敢えてド派手なカラー色使いになったり…というのは数多ある「クロサワ監督研究」をお読みいただく方がいいでしょう。

 ともあれ、「色」という情報を削ぎ落したバージョンを製作するというのはかなりチャレンジングなことです。ある程度のコストを掛けられる映画でなければ不可能だったでしょう。

 正直、そこまで「何が何でも観なくては」とは思っていなかったのですが…やはり面白かったです。

ただの白黒にした「ゴジラ-1.0」ではない

 私は全てのゴジラ映画を見ている訳ではありません。

 とはいえ、元祖「ゴジラ」は鑑賞経験がありました。

 まだまだVHSビデオの時代で、「日本語字幕表示機能」なんてものは全くありません。

 ですので映像は不鮮明で、この時代の映画らしく音声は劣悪でほぼ何を言っているのか分かりません。

 ごく僅かに印象的なセリフが耳に残っているくらいで、ストーリーも把握できたかどうかあやふやなレベルです。

 そもそも生まれる前の映画でかつ古典中の古典なので、「一度も見たことは無いのにストーリーは完全に把握している」状態でした。

 何しろ「うる星やつら」や「機動警察パトレイバー」などのおたくアニメで「パロディ」の方がばかり目に入っていた状態です。

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 先ほど張った予告編の映像を見ていただければ分かりますが、現代の技術でめいっぱいデジタルリマスターをしても「夜の街」でゴジラが襲い来る場面は非常に不鮮明で暗く、よくわかりません。

 ですからかつてのVHSでの映像など絶望的な視聴環境でした。

 ちなみに「怪獣が夜に襲ってくる」現象に関しては、「現代の映画」であっても多用されるギミックです。

 「カイジュウ」映画の金字塔である「パシフィック・リム」(無印)の怪獣バトルの大半は「夜」に行われます。

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 これは太陽が燦燦と照り付ける真昼間にCGを駆使しまくるとどうしても「アラ」が目立ってしまうためです。

 私は「白黒版」が出来ると聞いた時に、「あのどんよりして不鮮明な感じ」まで完全再現してくれるとある意味期待して劇場に行ったのですが、非常に鮮明な画像である意味安心しました。

「ゴジラ−1.0/C」の感想

 最初に上げた感想は、2023年11月3日(金・祝)のものでした。

 私は「海外の評判のよさで手のひら返し」するようなことはなく、最初から評価はしていました。

 ただ、「頭がショートする程」あらゆることを考えに考え抜いた結果「人間ドラマ」まで全て排除した「ペッパーハンバーグのコショウだけ食ってる様な映画」だった「シン・ゴジラ」ほどの「衝撃」を受けなかったことは間違いありません。

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 とはいえあくまでも「シン・ゴジラ」は突然変異中の突然変異であり「異端」であることも分かっていたため、より一般的な意味での「娯楽映画」たる「ゴジラ-1.0」の方がより一般性があり、広く親しまれるであろう…という、まあハッキリ言えば「奥歯にものの挟まったよう」な「評価」であったことも認めなくてはなりません。

 一緒に行った知人の「シン・ゴジラみたいな新しさが全くない、ただの怪獣映画だ」という評にも正直多少は共感するところもありました。

 特に予想通りに評価が分かれるポイントになった「ドラマ」パートです。

 海外の人は主人公の敷島、ヒロインの典子、そして拾い子の明子が全員血のつながりはなく、夫婦でもない…という「寄せ集め」集団だったことに余り違和感は感じなかったと思います。

 これは一応映画学校にいってそれなりに勉強してきた私には少しだけ思い至ることがあります。

 実は2020年代になってよく「多様性に配慮する」という名目での「ポリコレ」思想が映画界に浸食してきた…とされますが、実際はそれよりも遥かに前から特にアメリカ映画では「典型的な家族」を描くことよりも、「多様性のある家族」を描くことが推奨されていました。

 異人種間夫婦や、血のつながりのない養子などです。

 しかし、日本の観客はこの「敷島、典子、明子」の関係は正直かなり歪(いびつ)に感じます。

 別に「あるべき家族の形ではない」からということではなく「当時としてはかなり珍しかったであろう」集団がそれほどの迫害を受けるでもなく普通に存在していることへの違和感です。

 劇中で明言はされていませんが、恐らく主人公の敷島と典子の間には肉体関係は無いでしょう。

 にもかかわらず「子供」はいるために、「疑似家族」的集団を形成しています。

カイミ
カイミ

 私は、血の繋がってない家族の設定に違和感があるとは、あまり思わなかった。戦後だし、ありそうかもしれないと。

 実はこれ「ハーレムもの」と言われる一部のアニメにそっくりな構図です。

 特にいいところのない男主人公のところに美少女が集団でやってきて取り合いになるという「ハーレムアニメ」の特徴は、男主人公は決して性的にガツガツしたところは見せず、海外のアニメファンから「インポ」と言われるほど淡白だということです。

 これには二つほど要因を考えることが出来ます。

 一つは、沢山いるヒロインの一人とでも結ばれてしまえば残りの女性を振ったことになって、ハーレムの構造そのものが崩壊してしまうこと。

 もう一つは「少年漫画」レベルを基本とする日本アニメにおいては、男の主人公が「女性に対する性的欲望」などというものを持つ「汚れた存在」になることが耐えられない…ということです。

 これは一見して「清廉潔白な」態度にも見えますが「責任を取りたくない」子供っぽい発想だとも言えます。

 アメリカの「おっさん」が主人公になるアクション映画のほとんどが「妻とは離婚寸前、或いは離婚している」という生活感のありすぎる状態から始まるのと余りにも好対照です。

 「ゴジラ-1.0」の敷島は一度も肉体関係を持つことも無いのに妻も子供もいる…という奇妙キテレツにして、実に都合のいい境遇になっており、日本で反発した観客は無意識に「ハーレムアニメ」っぽい気色悪さを感じ取ったのではないかと思います。

 実はかくいう私もそうでした。

 ただ、映画そのものの評価に結び付けるほど致命的な欠点ではないので目をつぶっていたのです。

 別に普通に戦後すぐに知り合った夫婦で構わないではないですか。

 それこそ1954年に「ゴジラ-1.0」が作られていたならば、敷島と典子の設定は普通に「夫婦」だったと思います。

 一部サブカル界隈が「ゴジラ-1.0」に生理的嫌悪感を隠さなかったのは、この「オタク臭さ」というか「アニメ臭さ」だったのではないでしょうか。

 ところが一体何が幸いするか分からないもので、この「童貞っぽい気色悪い設定」たる「家族三人とも血のつながりが無い」設定が「多様性」を是とする世界的な風潮にピンポイントで突き刺さったわけです。

 「典型的な日本人親子」の話ではあれほどアメリカ観客の心は掴まないでしょう。

 「寄せ集めの他人同士が家族になって行く」話だからこそ、恐らくは肉体関係が無いであろう歪な構成という不自然さを越えて共感を集めたのではないでしょうか。

戦後PTSDについて

 「シン・ゴジラ」で「人間ドラマ」が皆無だったために、それまでの日本映画の「駄目人間ドラマ」が思い出される形になりました。

 ただ、「人間ドラマ」そのものが駄目なわけではなく、「どうせ上手く描けないならいっそ描かない」という「戦略的判断」がたまたま成功しただけなのが「シン・ゴジラ」です。

 なぜそう言い切れるかと言うと「駄目な人間ドラマ」が山盛りになった「シン・仮面ライダー」という駄作を「シン・ゴジラの監督」自らが作ってしまったためです。

 この「人間ドラマを描けないのならばいっそ全く描かない」などというトチ狂った判断が出来る監督は色んな意味で「まともな監督」ではありません。だからこそ出来た訳です。

 一方で山崎貴監督は「まともな監督」です。

 であるがゆえに「人間ドラマ」が普通に入ってきます。

 入ってきますが、「家族関係」は上記の通り見ようによっては非常に気持ち悪いそれです。「いい話」系と解釈して心を温かくすることは可能は可能なので、私はそういうモードにして見ていました。

 ではもう一つの「PTSD」描写についてはどうでしょう?

 主人公の敷島は、「ウソをついて特攻にいかなかったこと」「自分の判断ミスで他人を犠牲にしてゴジラから生き残ったこと」などを非常に悔いています。

 そして「どうして自分だけ生き残ったのか」「今の自分はもう死んで、幻でも見ているのではないか」と暴れます。

 こういう人間の闇の部分まで踏み込んだ深遠な展開はむしろ「文芸映画」を見る様でした。

 それは試行錯誤の末「シン・ゴジラ」では真っ向から否定され、そしてそれによって(?)大成功を収めた「排除された」要素のはずでした。

 まず最初に思ったのが「様式美」「段取り」という言葉でした。

 ああした境遇に陥ったキャラクターを描く際には「こういう台詞は言わせなくてはならない」というのは非常に使い古されたドラマツルギーです。

 そもそも監督も脚本家も実際に戦争に行ったことも無いでしょうし、「自分の体験から」出てきたセリフではありません。

 まあ、そんなことを言ったら実際に体験していないと何も描けないなら脚本家なんて何も描けなくなってしまいます。

 なので、正直私としては初見時には乗り切れるセリフや演出ではありませんでした。

 観客として「戦争」が遠いから共感できにくかったというのが一点、そして作っている側も「訴えたいことがある」というよりは「戦争を扱っているからこういうシーンは必要であろう」からやっているんだろうなーと思ったから余計に感情移入しにくかったというのが一点です。

 そういう意味で初見時の「ゴジラ-1.0」が「密度が薄い」と感じたのは確かです。

 とはいえ、ゴジラの街を破壊するシーンの迫力や、ゴジラ掃討のための特別作戦など見所も多く「スキがなく、ソツのない娯楽映画」として良くまとまっていたので偉そうにも「90点」と評価したのです。

カイミ
カイミ

初見、すごく優等生で、ちゃんとした映画だなー!マイナス点が殆どないなー・・・と感心したのを覚えてます。(色々と普通じゃない、シンゴジラと比べてた、多分)

素直に、再度観てみると・・・

初見の時は、思ったよりも「シン・ゴジラ」の影響を受けていた

 初見時に「シン・ゴジラ」の影響をこれほど受けていたのか…と驚きました。

 やっぱりどうしても比べちゃってたんですね。

 今回は「海外で評価されている」ということから「心をいい意味で空っぽにして素直に」見ることを心掛けました。

 いちいち「シン・ゴジラ」と比較することをやめ、「怪獣映画だ」ということすら忘れて素直に戦後の焼け野原を懸命に生きる市井の人々の映画として見たのです。

 なるほどこれはとてもいい映画です。

 大げさに言えば小津安二郎の映画みたいでした。

 ただ、「普通のとてもいい、心温まる感動映画」と全く違うところがあります。

 それは「ゴジラが出て来る」ことです。

 ベクトルとして真逆である「いい話」と「ゴジラ」が交互にやってくることで、それぞれの味わいが猛烈に加速され、単体で観るよりも強烈です。

 うまく表現が出来ないのですが、さわやかなシャーベットを味わった直後に激辛カレーをたべ、その後上品なスイーツを食べ…を繰り返している感じです。

カイミ
カイミ

ゴジラが激辛カレー、ドラマ部分が爽やかスイーツなのかな!?

 それぞれが80点~100点のものを掛け合わせ、交互にやってくることでその刺激は100点を遥かに超えて計測不可能な領域まで到達していたのですね。

 「海外でゴジラ-1.0が受けている」系の動画での熱狂的な「ゴジラ-1.0激賞コメント翻訳」はそうした感情でないと説明できないほど情熱的なものばかりだった理由がやっと理解できた気がします。

まとめ

1度だけでは勿体無い!2度以上観るのがおすすめ!

 初見で「いい映画ではあったけど、シンゴジに比べると」…と思っていた人ほどもう一度見て欲しい…です。

 正直、私は初見時は無意識で「シンゴジ」と比べていました。

カイミ
カイミ

私も!シンゴジが濃すぎて、知らぬうちに影響受けまくってた所はある。

 しかし、素直な気持ちで見るとこれは凄い映画です。

 海外云々ではなく、二回目の方が解ることも多いので。

 しかも、丁度「マイナスカラー」という新版になっていて、もう少し劇場公開は続くみたいなので今こそチャンス!です。

ぶらっくうっど
ぶらっくうっど

この大迫力怪獣映画こそ、劇場の大スクリーンでもう一度見るべきでしょう!

カイミ
カイミ

映画館まで遠いから中々いけないけれど、2度みて良かった!!機会あれば、アイマックスとかでも観たいー!

 

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kaimi
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お絵描き好き
漫画好き夫婦の感想ブログ「遊星からのブログX」です。お絵描き好きの妻(カイミ)と、オタク第二世代&こじらせオタクな夫(BW・ぶらっくうっど)、猫2匹と暮らしています。語りたくなる漫画・映画等のおすすめ作品と、iPad、PC便利グッズなどをご紹介していきます。
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