実写映画版「アンダーニンジャ」感想

感想は、ぶらっくうっどが書いてます、よろしくお願いします。
*漫画「ボーイズオンザラン」の内容に少し触れております。

私が観たくて夫のぶらっくうっどを連れてきました。

実写映画「アンダーニンジャ」こんな人におすすめ
- 花沢健吾ファン
- コメディ映画ファン(福田雄一監督のファン)
- 山﨑健人ファン(忍者のアクションが観たい人!)
映画を観る前に、漫画を読んだ方が良い?
この映画は漫画「アンダーニンジャ」の実写映画です。
アクション映画が好きな人は、いきなり観てもそれなりに楽しめるかもしれません。
漫画を読んでた方がわかりやすいですが、漫画がムリな人はアニメを観ると良いかもしれません。


それも難しい人は、映画公式サイトの人物相関図だけでも観ておくと良いかも
どこの組織の抜け忍とか、NINの組織のこととかはわかってる方が観やすいですね。

私は、漫画を読んでた方がより楽しめそうかなと思いました。
劇場で映画を観ていて聞こえてきた声・・・
背後から聞こえてきた感想「ヘンな映画」
映画が終わって背後から声が聞こえてきました。
女性「ナニコレ?全然意味わかんない」
普段ならある程度怒ったりもするのかもしれませんが、「まあ、そうだろうな」という感想でした。

まあ、そうだろうね・・・いきなり観ると混乱するかも
すぐ前の席に座っていたカップルの女性は、「透明パーカー」(そういえば「摩利支天4.0」という名前は出なかったな)で、目や手が透明になってない描写に。
「これ、意味なくない?」
とダルそうに言っており、前半のクライマックス(せやろか)の高校受験で床に落ちている「五色米」でカンニングしつつ片付けられない様におしっこを漏らす「水遁の術」の際には、つられた訳でもないでしょうがトイレに行っていました。
毎度おなじみ福田雄一監督のダラダラと続く脱力ギャグ場面などの作風はそれこそ「キングダム」とか「ゴールデンカムイ」でやったんじゃ大ヒンシュクでしょうが、「アンダーニンジャ」なら特に問題ありません。
花沢健吾という作家
についてはこれまでにも記事にしているのでそちらをご覧ください。
*漫画「ルサンチマン」「ボーイズオンザラン」に見る花沢健吾先生の作家性(BW)※ネタバレ有り
*漫画「アイアムアヒーロー」(全22巻完結・そして完全版の最終話265話)を読んだ※超ネタバレ(BW)
*漫画「アイアムアヒーロー」(22巻のラストと、その後出た『完全版』で追加された265話)感想(カイミ)※ネタバレ有り
非常に作家性が強く、「アイアムアヒーロー」はゾンビハザードが起こった後の荒廃した世界を描くことになるため、人間哲学の領域まで踏み込む深淵な傑作でした。まあ、オチには賛否両論あってそれについての記事が当ブログではかなりの人気で、今でも毎月数冊は
「アイアムアヒーロー 第22巻」
が売れるという異常事態となっています。有難うございます。
とにかく、かの残虐絵巻「GANTZ」(ガンツ)
ですら「浪花節」に流れてしまう日本漫画の中にあって、登場人物を恐ろしいほど突き放す作風は正直私には戦慄ものでした。
「ボーイズオンザラン」なんて、超自然的現象は何も起こりません。
普通は「にっくき相手を叩きのめすために、職場の昼行燈(ひるあんどん)だった、パッとしない冴えないおっさんが実はボクシング経験者で、陰ながら特訓」した主人公は、その相手に勝つでしょ。
勝たなくても「いい試合」をして、読者の留飲を下げ、場合によっては「悪役」は改心するか叩きのめされ、さもなくば反省して友情を深めるでしょう。
これが勝たないどころか、相手に手加減しまくられ、主人公が卑怯な手を使ってもなお勝てず、ボコボコにされて説教までされるなんて展開にするなんてまるで純文学です。
ネタを割ってしまいますが、この時の「悪役」は後に重病に侵され、唯一残ったはずの見た目すら醜くなり、主人公は「復讐」の機会を肩透かしで強制的に終わらされたまま、悪役は退場してしまいます。当然「反省」などしていません。
その「悪役」の去っていく背中に向かって「次はいい試合をしような!」と場違いに言い放つ主人公の空回りぶりと、「そういうことじゃねえんだよ」と失笑。
ものすごくモヤモヤします(笑。
「紋切型」の悪役が「勧善懲悪」とばかりに適当に倒されて、読者・視聴者を満足させる「水戸黄門」式の作劇と全くもって「真逆」です。
なので全くスッキリしません。
とにかく展開ひとつひとつが強烈極まりなく、全く目が離せません。
そんな花沢先生が「ゾンビもの」に続いて描く「現代忍者もの」となれば期待するなという方が無理というもの。
しかし、登場してきたのはあらゆる想像の「斜め上」を行くものでした。
漫画「アンダーニンジャ」を読んだ感想・・・
「なんだこれ」
現代を舞台とした忍者ものとなると、ほかに思いつくのは「ニンジャスレイヤー」
くらいでしょうか。
特に「作画崩壊」を逆手に取ったアニメ版「ニンジャスレイヤー」の第一話はかなり話題になりました。
ギャグ漫画ですが。
定義もハッキリしない「忍者」なるものが現代でもまだいるなんていう荒唐無稽なお話はどうしたってリアルにはなりません。
そのため、「アンダーニンジャ」はあらゆる展開が脱力して間延びしたギャグみたいなゆるーいお話です。
正直「忍者」と「アンダーニンジャ」組織の対立だの、人工衛星を巡る攻防だの言われても読んでいる側に緊迫感が皆無です。
それでいて戦闘場面にはそれなりに迫力があり、人体欠損をはじめとする残虐描写もかなりあります。
とはいえ、それなら不快かというと…まあ、愉快ではないんですが「ま、こんなもんだろ」というかなんというか…。
不思議なことにこの「スケールの小ささ」というか、「仮に外したとしても許されるだろ」といったハードルの低さからか、あの「アイアムアヒーロー」をさしおいて先にアニメ化されます。


既に放送は終了していますが、一報を聞いた花沢ファンは全員がこう言いました(反論は認めない)
なんで「アンダーニンジャ」が先なんだ??
「なんで『アンダーニンジャ』が先なんだよ!」
(アニメにするなら、アイアムアヒーローやボーイズ・オン・ザ・ランが先なんじゃ・・・?)
と。
実写映画化され、日本製作のゾンビ映画としてはトップクラスの傑作となった「アイアムアヒーロー」


に続いて、恐らく最後まで描き切れるアニメで「アイアムアヒーロー」が始まることが熱望されているのに、なんで「アンダーニンジャ」!?
でもって、現在でこそ「キングダム」「ゴールデンカムイ」と立て続けに傑作を連発して「アニメ・漫画の実写版主演請負人」として名声を得ている山崎賢人がまたも主演。
…まあ、とはいえ福田雄一監督だし、傑作なら儲けもの、駄作でも「おいしい」とある意味完璧な布陣でした。これは実写版「銀魂」みたいな座組です。


実写映画「アンダーニンジャ」実際どうだったか?
用事ついでに・・・さして期待もしてなかったが
別の用もあって映画館のある車で二時間の場所に行ったので、「ついで」の積りでした。
「面白かったなら儲けもん」くらいの感じですね。正直、「機動戦士ガンダム ジークアクスビギニング」をもう一度観たいと半分くらいは思ってた程度。
ところが期待はいい方に裏切られました。
確かに前半はあのゆるーい感じです。多くの主要キャラをカットしてまで続くしょーもないやりとり(本当に長い)。

役者さんが素で吹き出すまで、やめないのよね・・・ああいうのも、嫌いじゃないんだけどね
アクションが凄い!!
時折挟まれる忍者アクションの本格的なこと!
まるでジャッキー・チェンの映画を観ているみたいです。


製作費は100億円…の10分の1の10億円くらいでしょう(笑)。だってあの巨大怪獣が暴れ回って街を破壊しまくる「ゴジラ マイナスワン」でも15億円くらいです。
しかし、要所要所のアクションが本当にすごく、透明な相手に対して窓ガラスを割って破片をばらまいて位置を察する・・・など頭を瞬時に使いまくりです。

思ってたよりもギャグ控えめで、アクションに力が入ってました!
学校にて、制服姿の若者の男女が次々に斬殺されていく場面(残酷さは最小限)のショッキングさは


「バトル・ロワイヤル」
とか
「悪の教典」


にも匹敵するでしょう。…絵面だけ見れば。
特に原作でも重要キャラである「山田」は印象的です。

山田の笑顔がガンギマリで、やばい感じでとっても良かった!
原作漫画は美少女でありつつ「常に真顔」みたいなキャラでしたが、今回は徹頭徹尾「悪魔みたいな笑顔」を浮かべていてムチャクチャに怖かったです。
個人的には「CG技術の発達」はこうして「低予算でもリッチな映像」を展開するということで見事に役割を果たしていると思いましたね。

加藤忍長、下忍の鈴木、蜂谷くんの再現度高かったです!野口っちゃんがとても可愛かったので浜辺美波ファンはぜひ劇場で観てください
不満点?
2時間の映画に収めるために仕方がないのですが、多くのキャラが出番をカットされています。
また、ある程度仕方がないとはいえ展開も漫画とは大きく変わっており、それこそ「途中で終わっている」という風にしか見えません。

まだ原作も連載途中・・・
これなどは原作漫画を履修組である私などは「まあ、こうなるよな」という感じなのですが、一本の独立した映画を観に来た人は「…ナニコレ?」となるでしょうね。
…というか原作を真面目にちゃんと読んでる人でも基本的にその「原作」そのものが「ナニコレ?」なんですが…。

ほんそれ・・・笑・・・肩の力抜いて楽しみましょう・・・
結論
おすすめ!
はっきり言って超おススメ。原作を全く知らん人は見に行かないでしょうが、これは読んでから行った方がいいかもしれません。
というか、原作を知らずにこれを見てどういう感想を抱くのかさっぱり分からないです(爆)。
「現代忍者アクション」として非常によくできているので、それこそ外国でもある程度は受けるんじゃないかなあなんて。
それこそサブスクサービスが始まったらリアクション動画でも漁りたいと思います。

読んでいただき、ありがとうございました!
