映画「大雪海のカイナ ほしのけんじゃ」感想
記事は弐瓶勉ファンのカイミが書いてます、よろしくお願いします!
(記事の後半で少しネタバレ考察もあるのでご注意くださいね)
TVアニメ「大雪海のカイナ」の続きにあたる、映画「大雪海のカイナ ほしのけんじゃ」の感想です。
アニメだけ見て映画はいいかなー・・・と、思ってるそこのアナタ!
最初に結論を言うと、「期待していた以上に、面白かった!!」ので、絶対、映画も観てください!!
みんなで映画館に行って盛り上げましょう!
「大雪海のカイナ」はこんな人に観てほしい
- どこまでも果てしなく続くような、壮大な世界を描いた話が好きな人
- 余韻が残る作品が好きな人
- 「風の谷のナウシカ」っぽい世界観が好きな人
- SFが好きな人
私的には、弐瓶勉版の壮大なSFで「風の谷のナウシカ」を観てるようでした!虫がいっぱい出てくるからかな・・・。
アニメ「大雪海のカイナ」概要・あらすじ・感想
アニメ「大雪海のカイナ」概要
「BLAM!」「バイオメガ」「シドニアの騎士」「人形の国」などの作品で知られている漫画家・弐瓶勉(東亜重工)原作、それらの弐瓶勉作品(「BLAM!」「シドニアの騎士」など)をアニメ化し高い評価を得ているポリゴン・ピクチュアズがタッグを組み作られた作品。
2023年1月11日(水)からTVアニメ放送され、全11話。
U-NEXT(2023年10月現在配信中)など配信サイトでも見ることができます。
原作:弐瓶勉・漫画:竹本糸会で、コミカライズもされています。
TVアニメ「大雪海のカイナ」あらすじ
「雪海(ゆきうみ)」が拡がり続ける、滅びゆくように見える惑星・・・。
人々は巨木「軌道樹(きどうじゅ)」から広がる「天膜(てんまく)」の上でかろうじて暮らしていた。
天膜の上に住む少年カイナと、天幕に登ってきた雪海の王女リリハが出会うとき、滅びかけた世界を変える物語が始まる。
弐瓶勉作品の魅力・・・想像の余地を残した物語の提示
私は弐瓶勉作品が好きで、「BLAM!」は勿論のこと、「N Oi SE」「ABARA」などの単行本も所有して、定期的に読み返しています。
描く建物の大きさ・広さ、何千年も続く時間・・・どこまでもどこまでも続く、とてつもなくスケールの大きな構造物や惑星、どこまでも続く果てしない世界に没入すると、日頃の仕事のストレスもどこへやら飛んでいってしまいます。
おそらく設定はざっくりとあるのでしょうが(作者曰く「ABARA」に関しては作者本人でもどういう話かわからない・思い出せないそうですが・・・)。
設定がしっかりありそうなのに、はっきりとは提示しないのですよ。チラ見せして、あとは想像してください、みたいな感じで、それぞれ個人で自由に妄想できるのです。
そういった「個人の想像の余地を残して物語を提示してくれる」ところが好きです。
そんな物語って、定期的に読みかえすと、また新たに楽しめるのです。
TVアニメ「大雪海のカイナ」感想
とても田舎に住んでいて、映画「BLAM!」が都会の映画館でしか公開されなくて、仕事の都合上泣く泣く諦めた経緯がありました(後にBRで観ることになります)。
今回のTVアニメは、ほぼリアタイで楽しめる!と、とても楽しみにしていました。
TVアニメ「大雪海のカイナ」は、これまでの弐瓶勉作品よりもわかりやすくて、とっつきやすいファンタジーっぽい世界観になっていました。
主人公が素朴な感じで好印象。声優さん(細谷佳正)の演技も良かったですね!ああいう素朴なお芝居って難しそうです。
「樹皮削り」などの東亜重工製であろうガジェットも登場し、まさか樹皮削りが「ものすごい威力」を発揮するものになるとは驚きでした(BLAM!を思い出しました。)
アニメ「シドニアの騎士」よりも登場人物が少なく、主人公カイナとリリハのボーイミーツガールのお話でもあります。「シドニアの騎士」のように、恋のライバル等は登場しないので、そこは安心(?)してほのぼのと2人をみることができました。
ただ、アニメを観ただけの人は「これまでの作品に比べて、ちょっと世界観が狭いような?」「物語がちょっと淡々と進む・・・?」感もあったのではないでしょうか・・・?
TVアニメと同じように「割と単調に物語が淡々と進む」のだろう・・・と映画を観にいったら・・・。
「良い意味で裏切られました!!」
ファンタジー作品と思って見始めると、途中から、お馴染みの「あれ」がたくさん登場し、壮大なS F映画となったのでした・・・!!
映画「大雪海のカイナ ほしのけんじゃ」感想など
映画「大雪海のカイナ ほしのけんじゃ」公開日・上映時間など
- 公開:2023年10月13日
- 上映時間:100分
映画「大雪海のカイナほしのけんじゃ」あらすじ
文明が衰退し、どこまでも広がる雪の海「雪海(ゆきうみ)」に沈んだ惑星。
わずかな人類の多くは、上空までそびえる巨木「軌道樹(きどうじゅ)」の上に広がる世界「天膜(てんまく)」で暮らしていた。
そんな天膜に暮らす少年カイナと、軌道樹の根本にある町で生きる雪海の王女リリハは、人びとの水源となっている「大軌道樹(だいきどうじゅ)」を目指すが、そこにはビョウザン率いる独裁国家プラナトがあった。
「建設者(けんせつしゃ)」と呼ばれる兵器を自在に操り、人類のためにと大軌道樹の破壊をもくろむビョウザン。
カイナとリリハはそこで、滅びゆく世界の謎に迫っていく。
映画公式サイト
映画「大雪海のカイナ」感想(後半ちょっとネタバレ考察)
最初は、ワクワクしつつも、割と前述したように、ちょっとだけハードルが下がりつつ見始めたのです。
が、この映画、どんどん面白くなる・・・!!
TVアニメの方は淡々と物語が進む感じでしたが、映画は割とテンポが良くて盛り上がりどころも多くあり、この世界の謎が明かされていく過程も良かったです!
特に私がテンション上がったのは、TVアニメでは一部壊れた「建設者(けんせつしゃ)」が、完全に稼働する形で、たくさん登場し始めるあたりから!
ロボット型の建設者の、「手からビーム(と私が勝手に言っている)」がとても良かった(手からビームは「BLAM!」などでもあって、アニメになると特に良いですね〜)。
建設者の飛び上がり方、動き方、ロボの造形・・・シンプルで洗練されてて良かった!
ビョウザンが再現したい世界に必要なアイテム「権限者の服」のデザインが、え、あれ・・・なんですか?と驚いたり。
ファンタジーな世界観だったので、「権限者の服のデザイン」は、意外で面白かったです。
劇中、「あの有名なプレート」も見えた・・・?て、ことは?
最後はあっと驚く展開に。
果てしない宇宙、みたことが無い惑星、・・・に思いを馳せられる、とても素敵な、様々な妄想が膨らむ映画でした。
すごく満足感が高い、良い作品でした!
おすすめの映画です!
以下、ネタバレ考察を少しだけ。ネタバレ嫌な方はご注意ください。
! 映画最後あたりの、ネタバレ考察 !
それほどSFや宇宙の事とかには詳しくないので、もっと気づいた人がいるかもしれませんが、ちょっとだけ考察。
大軌道樹と天膜って・・・?
最後、大機動樹が割れて光が差して、雪海が溶けて、田植えができるようになってましたね。
おそらく、テラフォーミング(惑星地球化計画)が終わるまでは、その惑星を宇宙線(宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線)から惑星を守るために天幕と軌道樹があって、テラフォーミングが終わったから、天膜と軌道樹は役目を終えたと。
どこでわかったかというと、「権限者の部屋」内の、モニターのようなものに「宇宙線から惑星を守っているような画像」が出てましたよね!
あの映像を観た時「なるほどー、そういうお話だったのか!」と膝を打ちました。
それらを言葉で説明せず、視覚的に見せてて、とても良い演出でした。
セリフで説明しすぎないところが良いんですよ!
あまりこういった展開のものを観ない人は、見せ方がさりげなくオシャレすぎて「あれってどういうこと?」となる方も・・・少しいたかも?
パイオニア探査機の金属板・・・?
映画一番最後の、かつて言葉を使っていた時のイメージにこの金属板が写りました。
かの有名な、宇宙に放たれたボトルメール・・・ロマンがありますよね。
それはさておき、このパイオニア探査機の金属板には人間の男女の姿とともに、探査機の故郷である地球に関する情報を示す記号がいくつか描かれています。
この金属板を写したということは、「どっち側」だったのでしょうか・・・?
カイナ達の雪海の世界は、果たして、かつて地球だったのか?
それとも、ボトルメール(金属板)を受け取った「最果ての惑星」だったのか・・・?
ここは、夫婦で1回しか映画観てないですが、言及されてないような描き方、だったような。
私は、映画を観終わった後は、かつて地球だった惑星が、再度テラフォーミングに成功し、また住めるようになった・・・と解釈してたのです。
「シドニアの騎士」「人形の国」で描かれた未来の人類は、地球に住めなくなり船に乗って宇宙を旅してましたね。
弐瓶勉作品の世界は、ゆるく繋がっている時も多くあるので、私は、「シドニア号が住めなくなった地球を旅立った『後』の、かつて地球だった惑星が、再度テラフォーミングした」・・・と解釈してたのです。
・・・でも・・・映画を思い返すと、はっきりとはそう描いてないのです。
どちらなんでしょうね。
皆様は、どう思いましたか?
どこまでも妄想が膨らむ映画を作っていただき、制作の方々に感謝です。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました!