大和田秀樹先生の漫画「ノブナガ先生」全6巻 感想(BW)
記事は「好きな戦国武将は織田信長!」の歴史ファン、BW(ぶらっくうっど)が書いてます。
よろしくお願いします。
漫画「ノブナガ先生」は、こんな人におススメ
- 「ムダヅモ無き改革」などの大和田漫画のファン
- 「織田信長」の豪胆なキャラクターのファン
- 歴史ファン
- 「面白い漫画」「笑える漫画」を求めている人
漫画「ノブナガ先生」概要・あらすじ等
概要
「ムダヅモ無き改革」「疾風の友人」の大和田秀樹先生が、週刊漫画ゴラクにて2017年12月ー2020年2月に連載したギャグ漫画。コミックスは全6巻。
あらすじ
日本の高校教師・藤倉健一は雷に打たれ、なぜか戦国時代にタイムスリップした。
そこで織田信長に見つかり、家来となる。
「本能寺の変」の当日、信長と藤倉は青い光に包まれ、現代の日本にタイムスリップした。
新しもの好きで現代への順応性が半端ない天下人・織田信長は「高校教師」となり、冷め切った教育現場に切り込む!?
第六天魔王・織田信長の「超授業」が開幕する!!
同作者の漫画「ムダヅモ無き改革」の衝撃
実は「麻雀漫画」は結構カオスな世界で、「麻雀さえやっていれば後は何でもいい」という側面があります。
私(BW)はそれなりに麻雀好きで、同時に麻雀漫画も好きです。それは既に記事にした通りです。
とはいえ、「週刊少年ジャンプ」を始めとした少年誌、「ヤングマガジン」「ヤングジャンプ」などの青年誌、「進撃の巨人」を始めとした意欲的な漫画が掲載されていることも多い「月刊」漫画誌などに比べれば、マイナーでかつアングラです。
そこに、当時の総理大臣を主人公にし、その上「麻雀で全てを解決する」バカバカしいにもほどがある世界観で勢いで強引に押し切った「ムダヅモ無き改革」が掲載されました。
ただ、雑誌に掲載されただけではマイナー漫画雑誌に載ったっきりのそれでした。何しろこの令和の時代に至ってすら「単行本化されないのも当たり前」の世界なのです。
しかし、勃興しつつあったインターネットで「こんな面白い漫画があるぞ」とコピーが張られ、ニコニコ動画で勝手に動画化されてじわじわと拡散されていきました。
元々「ガンダムさん」などでシリアスの中にもコメディを織り交ぜ、非常に高い作画で定評のある大和田秀樹氏はスマッシュヒットも多い方でした。
この方の漫画を読んでいると「漫画というのは、紙の上でどれほどのスペクタクルであっても表現出来るのだな」と実感させてくれます。
CAの世界をコメディタッチで描いた「ぶっちぎりCA」や、アニメ化されたことでオタクにも有名な「大魔法峠」、なんと田中角栄の伝記漫画「角栄に花束を」など作風も変幻自在です。
その大和田先生が満を持して「信長漫画」に進出です。
これは読まない訳にはいかないでしょう。
「織田信長」という存在
戦国武将の中でもぶっちぎりの人気を誇る織田信長。
余りにもあちこちでキャラクターとして使われまくるため、「フィクションに登場する織田信長をまとめた」という体裁の「信長名鑑」などという書籍まで発売されました。
「一番最初にタイムスリップした信長はどの作品」などの多様な視点でまとめられたこの一冊は「信長ファン」にはおススメです。
最大級のポピュラリティを誇るであろう「花の慶次」に登場する信長が未登場であったり(権利の問題とかなんでしょう)、終了したソーシャルゲームの「絵違いレア」などもずらっと並んで掲載されていたりと問題もありますが本当に面白いですよ。
私に殿(織田信長公)を語らせたら一晩掛かりますので簡単に。
「織田信長もの」の中でも一大ジャンルとなっているのが「タイムスリップもの」です。
現代人が戦国時代にタイムスリップする作品としては「信長協奏曲(コンチェルト)」や「信長のシェフ」がありますね。
「信長のシェフ」は戦国時代の食材のみを使って「料理」を作って信長を感心させるも、「いつ機嫌が悪くなって〇されるか分からない」という緊張感がたまらない作品です。
もちろん、「歴史もの」でもあるので、みんな知っている歴史上の出来事が次々起こるのがたまりません。
どうして織田信長がこれほどタイムスリップものに相性がいいかですが、病的な「新しいもの好き」なので、多少の怪異ではびくともしない…と思われてるんですよね。
当時の日本人にとっては奇矯な格好であるはずの現代人を見ても多くの作品の信長は「まあ、そんな奴もいるだろ」程度で受け入れてしまいます。
下手をすると「未来から来ました」と言っても「それは面白いな!」と身を乗り出しかねません。
現代人が信長の元に行く作品としてはほかに眉村卓作の小説及びアニメ「時空の旅人」(ときのたびびと)とか、綾瀬はるか主演映画「本能寺ホテル」などがあります。
ある時期から「信長自身が」どこかに行く作品が登場し始めます。
紹介しているとキリがないのですが、なんと「ファンタジー世界」に飛ばされてしまう「ドリフターズ」(平野耕太)が代表です。
「ドリフターズ」、ムチャクチャに面白いので未読な人がいたら絶対に読んでください!アニメも傑作でした。
今のところ未完なんですけどね・・・。
ほんと、ドリフ(ドリフターズ)メチャクチャ面白いですよ!!
そんな中、なんと「現代日本」にタイムスリップしてしまい、持ち前の生活力でなんと学校の先生に収まってしまう…という破天荒なコメディがこの「ノブナガ先生」なんですね!
実は歴史ファンもうなる綿密な考証
普通は過去の人間が現代文明に出会えば、動揺しそうなものですが、我らが信長公はあっという間に順応してしまうのも笑いどころ。
ところが、「本物の織田信長なら、室町幕府を滅ぼした時の感想は?」などと生徒に聞かれます。
そこで「室町幕府って何?」と聞き返します。
凡百の(調査不足の)漫画であれば、「あれはのう…」などと教科書を斜め読みしたレベルのあっさい知識を披露するところです。
私みたいに半端な知識があると「幕府」などという呼び方がそもそも後世に分類上分かりやすい様に付けられた通称であることを知っているので「…ほう」という事になるわけです。
(*ちなみに終盤で普通に「室町幕府の時は」的なセリフを言っちゃってるんですが、まあ細かいことはいいでしょう)
この他にも「信長は実はかなり甘党」とか「実は部下にも優しい(ある時期から異様に厳しくなった)」とか、「コスプレ好きでしょっちゅう女装もしていた」とか、マニアックな信長知識が満載。
何しろ「視点の広さ」「大所高所からの判断」という点では天下人に最も迫り、遥かにその先のビジョンまで見据えていた人です。
その辺の「生徒の悩み」なんて強引に解決してしまいますが、現代人にはありえない常識破りの解決っぷりは何とも痛快にして爽快。
それこそ「金〇先生」なら絶対にやらん「ぶん殴って解決」とか「ぶっ飛ばして解決」とかも普通にかまします。
これがまあスッキリするんだなあ。
もちろん、そこは「殿」なのでちゃんと心に訴えて認めたりもします。
笑って泣けて最高の娯楽作です。
しかも一話完結なのでサクサク読める!
不良生徒、ユーチューバー、モンスターペアレンツ、マナー講師などを次々にぶっ倒していくのですから最高です。
コミケ回(そんなのまである!)では過度に美少年にアレンジされた自分がネタになっているBL漫画を読んでしまったりとおおよそできることは全部やってますね。
まとめ
同じ時代から飛ばされてきた戦国時代の人物などもいたりするんですが、序盤に匂わされた「現代日本でも天下取りを目指す」展開にもならず、「これからもこの生活は続くのだ」というところで終わります。
決して「歴史に残る」作品ではありません。
きっと読んだ端から内容なんて忘れてしまうでしょう。
しかし、それが何か問題でしょうか?読んでいる間は最高に面白い!それこそが娯楽というものです。
頭を空っぽにして楽しみましょう。
おまけ
大和田先生の作品のおススメは沢山あります。
「ムダヅモ無き改革」は少しでも麻雀を知っていれば爆笑の快作。恐らく麻雀を知らなくても楽しめますが、知っていた方がいいでしょう。
基本的にどの作品も面白いんですが「ぶっちぎりCA」は意外な面白さでした。
設定はぶっ飛んでいますし、「んなアホな!」漫画ではありますが、最終回で泣くとは思いませんでした。
「「ガンダム」を創った男たち。」
池田勇人や田中角栄などを主人公にした漫画を描いていることからも、どうやら大和田先生は「実在の人物」を描くのを得意としているみたいです。
ファーストガンダムと逆シャア、水星の魔女くらいしか観てないですが、以前読んだ「ガンダムを創った男たち」面白かったです!
ここでの主人公は「富野由悠季」監督。
オタクにとっては泣く子も黙るレジェンド、富野監督です。
以前のチャプターで紹介した「スティーブス」の様に実際の「ガンダムの」歴史が次々語られていく過程に興奮しきり。
ガンダムファンでないと面白く無いどころか全く分からないでしょうけど、ガンダムを知っている人には最高の作品です。
実は私自身も読んでいない作品が多数の多作家でいらっしゃるので、これからガンガン読もうと思っています。