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連載継続希望!大人気テニス漫画「ベイビーステップ」作品の魅力を語る(BW)

kaimi
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記事は、「ベイビーステップ」を新刊が出るたびに購入し続けていた、ぶらっくうっどが書いています。今でも続きが読みたい!!

よろしくお願いします。

Contents
  1. 漫画「ベイビーステップ」はこんな人にオススメ
  2. スポーツ漫画はリアルとそうでないものに2分化できる
  3. 漫画「ベイビーステップ」概要・あらすじ等
  4. リアルスポーツ漫画「ベイビーステップ」の魅力
  5. 漫画「ベイビーステップ」は打ち切りだっかのか?
  6. まとめ:スポーツ漫画の一つの到達点!!
  7. おまけ:妄想・・・石油王になったら何をしたいか?
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漫画「ベイビーステップ」はこんな人にオススメ

  • 面白いスポーツ漫画が読みたい人
  • ギスギスしないラブコメが読みたい人
  • テニス好きな人(リアルなテニスの描写がある)
  • テニスに限らず「勝負事」が好きな人

スポーツ漫画はリアルとそうでないものに2分化できる

日本のスポーツ漫画について

 わが国のありとあらゆる「漫画」ジャンルの基礎を築いたと言っていい「手塚治虫」先生が唯一ヒット作を出すことが出来なかったと言われるジャンルが「スポーツ漫画」でした。

 原因はいくつも考えられますが、「スポーツ」は「戦争」の代替行為から始まった通り、そもそもが「作り物」の世界です。

 プロスポーツ選手であれば目の前の試合の勝敗は自らの地位に直結してきますので、ある程度必死にはなりますが、別に命まで取られる訳ではありません。

 ましてやアマチュアスポーツ、それこそ甲子園だのインターハイだのとなってくれば尚更「どうしてそこまで頑張るのか」の説明が出来ません。

 それこそ「戦中世代」であった手塚先生は「所詮はバーチャルな行為」のスポーツに夢中になり、必死になる人物に作者として感情を乗せることが出来なかったのでしょう。

 ご存じの通り、プロ野球球団「西武ライオンズ」に「ジャングル大帝」のレオを提供していますが、その時にもデザイン画によって右打ち・左打ち・右投げ・左投げがバラバラになっていて、仕方なく担当者が「反転」で処理していたそうなので、本当に興味が無かったのでしょうね。

 しかし、「スポーツ漫画」は漫画黎明期からの一大ジャンルです。

 後の「サラリーマン金太郎」のタイトルの元ネタになった「スポーツマン金太郎」なんてのもありましたし、今では何かと揶揄の対象になってしまっている「巨人の星」や、一時代を築いた「あしたのジョー」だってスポーツ漫画です。

 「勝負事」なので、それこそ「戦っている」のと変わらず、あらゆる「心理的盛り上がり」を持ち込むことが可能です。

ジャンルの二極分化 「リアルスポーツ」と「スーパースポーツ」

「リアルロボットもの」に対して、「スーパーロボットもの」があるように、

「リアルスポーツ漫画」に対して「スーパースポーツ漫画」という・・・そういったジャンルの名前自体はないのですが、2極分化していると思うのです。

あり得ないスーパープレイが描かれた、スーパースポーツ漫画

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 「キャプテン翼」は世界的にも大人気なサッカー漫画の金字塔です。

 ただ、そこに出て来る「技」の数々は、とてもではありませんが現実には不可能なものが多いのも事実。

 これに限らず、「スポーツ漫画の荒唐無稽さ」はどんどんエスカレートしていき、遂に「アストロ球団」という快作を生み出すに至ります。

本 野球マンガアストロ球団 ジャンプコミックスセレクション 第1巻 遠崎史朗 中島徳博初版 ~
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 もう余りにもムチャクチャです。

  • 「センター(の選手)を空中に放り投げて空中でホームランをキャッチ」
カイミ
カイミ

確かにルールには選手投げたらダメ、とはないか・・・??

ぶらっくうっど
ぶらっくうっど

いや、フツーにダメです!!・・・そしてマトモに読んじゃダメ。

  • 「ファーストからセカンドまで走ってくる選手に対して、次々に空中から落下してくる「人間ナイアガラ」」(普通に走塁妨害なんだが…)
  • 「試合中に死人が出る」
  • 「ベンチ裏で切腹しておいて『死に際パワー』でホームランを打つ」
  • 「ボールを打つと同時にバットを粉砕して選手の元に降り注がせ、フライを取れないようにする「ジャコビニ流星打法」」(連載当時「ジャコビニ流星群」が流行っていたらしい)

「ウソついてんじゃねえ」と思われるかもしれませんが、マジなんですよこれが。

 しかし、これでもまだマシな方で、プレミアがついているカルトなサッカー漫画「コスモスストライカー」なんて宇宙人がサッカー勝負を挑んできます(なんで?)。

 なので、「キーパーが手の中にブラックホールを出現させてシュートを吸い込んで取る」とかやってきます。

 いや本当なんですって!

 …まあ、実は「テニスの王子様」(テニプリ)が現役で連載中ですからね。

 「テニスの王子様」のデタラメぶりは「アストロ球団」すら完全に過去のものにしたすさまじさです。

 「テニスの王子様」の内容は、私が認識してるだけでもこんな具合。

  • ボールが分裂して十字架状にぶつかって吹っ飛ぶ
  • ダブルスの試合でペアが裏切って(???)1対3の試合になる
  • 対戦相手が巨人(デカすぎる)
  • 光る球でコンクリの壁を壊す、ボールが飛びなから上下に開いて中から小さなボールが次々に飛び出してくる
  • 空間を削り取って打球を止める
  • 試合中に海賊に刺される

 読者の方は私が「クスリでもやっている」と思われるかもしれませんが、マジです。

 てゆーか「ブラックホール」もやってるんですよねえ…大体「手塚ゾーン」だってブラックホールだし。

 まあともあれ、「デタラメスポーツ漫画」の系譜は脈々と存在しており、今も生み出されている…ということが分かって頂ければ結構です。

 なんか「機動戦士ガンダム」から始まった「リアルロボット」とそれより前の「スーパーロボット」みたいなことになってますね。

リアルなスポーツものを描いた、リアルスポーツ漫画

 ともあれ、「野球漫画」にありがちだった「魔球」などという、山田風太郎やら立川文庫(講談)の「忍者もの」にルーツを持つギミックを排して、「地に足の着いた」本格的野球漫画が登場します。

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 それが「ドカベン」に始まる水島新司先生の一連の漫画でした。

 何しろ「ボールカウント」は「12種類ある」の分析から始まる「ドカベン」は画期的でした。

 それまでは「エースで四番」という大谷翔平みたいな存在が主人公になるのが当たり前だった野球漫画にあって「キャッチャー」が主役というのが凄いですよね。

 ルールを熟知し、自らも草野球チームを率いて打率まで(一応)設定された世界観は、星飛雄馬が実際には何勝したのかも曖昧な「巨人の星」とは「リアル度合い」は違います(どっちがいいか悪いかの話ではありません)。

 大体、「巨人の星」の星飛雄馬って、シーズン途中なのに花形に一発「魔球を破られ」てホームランされたからってチームを抜け出して「新たな魔球を生み出すため」に「山籠もり」したりしますからね。

 一体何を目的に野球やってんのかと言う感じですが、これは形を変えた「剣豪もの」「任侠もの」と考えるべきです。

 「巨人の星」に比べれば、高校野球ながら地に足の着いた「ドカベン」「大甲子園」などがどれほどリアルかと。

 …とはいうものの、岩鬼の「悪球打ち」や殿馬の「秘打」など、「魔球」レベルではないにしても、結構フィクショナブルな要素もいっぱい出てはくるのです。

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 この「リアル野球漫画」という事で言うなら、極北は「経済」部分に着目した「グラゼニ」と、そしてなんといっても「大きく振りかぶって」になるでしょう。

 「大振り」を取り上げないのは現在も連載中で未完であるからだけです。およそ野球を取り扱っていてこれ以上リアルな漫画は存在しないでしょう。

漫画「ベイビーステップ」概要・あらすじ等

概要

 漫画家・勝木光(かつきひかる)先生が、硬式テニスを描いた少年漫画。

「週刊少年マガジン」で2007年から2017年まで連載され、コミックスは全47巻。

 勝木光先生はテニス経験者で本作は綿密な取材に基づいて現実的な技術や戦術、トレーニング理論が描かれている。

 アニメ化もされており、2014年4月から9月までテレビアニメ第1シリーズが、2015年4月から9月まで第2シリーズが放送された。

「ベイビーステップ」の売上と立ち位置

 「週刊少年マガジン」にて2007年から2017年まで連載され、47巻の単行本に2冊の別冊が発売され、TVアニメにも実写ドラマにもなり、累計発行部数が1,200万部を突破している作品は「マイナー」とは言えないでしょう。

 ただ、現在も積極的に名前が挙がる作品とは言い難いですし、今検索すると「打ち切り」といった単語の方がよりヒットすると思われます。

 「知る人ぞ知る」名作というところでしょう。

あらすじ

主人公は几帳面で真面目な男子高校生、丸尾英一郎。成績優秀でオールAなので「エーちゃん」と呼ばれている。至って普通の高校生だったが、運動不足解消のために近所のテニスクラブに通い始めたことで本格的にプロテニスプレイヤーの道を歩みはじめる。

リアルスポーツ漫画「ベイビーステップ」の魅力

女性作家が少年誌にスポーツ漫画を描くと緻密になる

 今回紹介する「ベイビーステップ」の題材は「テニス」です。

 そして「リアルスポーツもの」の一つの到達点です!

 女性作家が少年誌にスポーツものを描くと、すごく緻密な作品になると以前から思ってたので、そこにも触れつつ、女性作家の作品を読んで私が思った感想にも触れていこうと思います。

ちょっと脇道にそれますが、少女漫画のスポーツ漫画について

 女性作者によるスポーツ漫画といえば「エースをねらえ!」が代表だと思います。

 よく言われるのが「戦況がよく分からない」ということですね。

 基本的には根性と熱烈な恋愛のお話です。若干思想的というか哲学的な領域にまで到達していきます。

 妻のご母堂から借りて全巻読ませていただきましたが、意外にちゃんとしてる(超失礼)し、日本スポーツ界の発展のためのビジョンの話とかしっかり出てきます。

 まあ、とはいえ当時の少女読者がこの辺に食いついたとは到底思えません。

 多くの女の子読者は宗像コーチとひろみの恋愛の行方やら、お蝶夫人との熱い友情の描写に夢中だったはずです。

 閑話休題。

 私はかねてから「少女漫画」は非常に「文化的」だと思ってます「文系的」と言う感じですね。

 読むときに「脳」の使っている部位が違うほど「違う物」です。

「ベイビーステップ」は、緻密な少年スポーツ漫画の到達点!

 男性の描くスポーツ漫画が、あの「ドカベン」すら「技」が出て来る「マンガ的展開」になるのに対し、「大振り」の理性的にして緻密さはどうでしょうか。

 正直、同じ男として恥ずかしくなりました。

 男の描く野球漫画なんて、多少は配球を考えてる振りはしていますけど、基本的には「気合」と「根性」で乗り切ってしまうと言っていいでしょう。異論歓迎。

 この「ベイビーステップ」もまた、女性作者の描く「緻密なスポーツ漫画」の一つの到達点と言えます。

魅力1:「高校デビュー」だけど、過程に説得力がある!

 スポーツ漫画の定番に「高校デビュー」ものがあります。

 野球やサッカーとなってしまうと、わが国で余りにもポピュラーであるため敷居が高く、「キャプテン翼」でも小学生スタートです。

 かの名作「スラムダンク」も高校に入ったばかりの主人公が、モテたい一心でバスケットボールを始めるお話でした。

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 名作ボクシング漫画「はじめの一歩」もそうですね。

 この「ベイビーステップ」は真面目一徹の主人公の高校生が、「運動不足だったので受験勉強の合間のストレス発散と運動不足解消」のために近所のテニススクールに入るところから始まります。

 あらゆる練習方法など全てに合理的根拠があり、一つも「適当に」処理された項目がありません。

 試合展開にしても、対戦相手や自分の得意なパターンを徹底的に分析し、最も合理的な方法を取ります。

 テニス未経験者であるため、全てを一から行うため、まるで読者も一緒にテニスの練習をしているような気分になってきます。

 世間一般では「男性は理性的、女性は感情的」ということになっているみたいですが、どういう訳か、こと「スポーツ漫画」に関して言えば全く逆になります。

 およそこれほど「緻密な」テニス漫画は空前絶後でしょう。

 最初の一打となる「サーブ」は男子テニスとなってくるとある程度「山を張って」対処する必要が出てきます。

 それが「これまでの試合傾向」から「右が〇%、真ん中が✖%、左が△%」みたいな「数字」が出て来るんですよこれが。

 徹底的に綿密に行われた取材によって、プレイヤーのみならずスポーツクラブ、テニス用品メーカーまで実に現実的に登場してきます。

 体力も何より経験もないはずの主人公が、徹底的な分析によって次々に経験者プレイヤーをなぎ倒していく展開はそりゃもう痛快なんですよ!

魅力2:「目標設定の仕方」など、参考になることが多い!

 題材はテニスですが、「努力すること」「目標に向かって進むこと」がモチーフであると言えます。

 そのため、「目標設定の仕方」など、参考になること多々です。

 実は私「対戦格闘ゲーム」が趣味です。まあ、「下手の横好き」レベルで、近所のゲーセンで楽しく遊んでる程度。全国大会に出場経験はありますが、名前が残るところまで勝ち進んだことなどありません。

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 現代のFPSなどにより、現在人特に若い世代は案外「人と勝負する」経験は豊富です。

 その為「素質がそもそも上の人」になすすべなく叩き伏せられた経験もあると言えます。

 「最高に上手く決まった攻撃はそもそもよけられないのですっぱり諦める」などですね。

 また、主人公の戦い方だと、対戦相手は徐々に徐々に「読みを元に分析し、対処されている」ことに気が付き始めます。

 こういう時にどういうリアクションになるかは経験があるのでよーくわかります。

 大半の対戦相手は「戸惑い」ます。

 「あれ?」と言う感じになるんですね。

 「そんなはずはない」と。

 何しろ大半のプレイヤーはフィーリングでプレイします。

 試合中に対戦相手を見て対処を変えるプレイヤーはそれほどいません。

 ぶっちゃけ、私も「対応型」なので、物凄く低いレベルではあるものの、「相手の得意パターン」を潰し、読みによって対応します。

 まあ、それで連戦連勝ならプロプレイヤーでもやってるんでしょうが、せいぜい「一試合でちょっと見せ場を作ることもできる」程度ですが。

 ともあれ、「対応」されたプレイヤーがそれなら行動パターンを変えられるかといえばそれほど変わりません。というか変えられないんですよね。

 「ベイビーステップ」の主人公は、試合中に対戦相手のクセを分析し、苦手そうな所に攻撃する・・・ということをするのです。

 こういった「勝負事の機微」が見事に描かれています。

魅力3:少年の成長に感動する

 当たり前ですが、少年主人公ということもあり、次々にやってくる試練に対応し、自らの成長のために親を説得してアメリカ修行に出ます。

 テニスのレベルアップに伴って以前には分からなかった対戦相手の凄さもわかる様になってきますし、周囲の環境も変わっていきます。

 それが本当に面白いんです。

魅力4:テニス関係者にファンが多い!!

 テニス関係者に熱烈なファンが多いらしく、「テニスの日」の公式キャラクターに採用され、なんとラケットやウェアメーカーに正式に、キャラクターがプレイヤーとしての「スポンサー契約」を結んだりもしていたのです。まるで実在するテニスプレイヤーみたいな扱いです。

 いいですよねーこういうの。

 今では大手企業がアニメキャラとコラボするのは当たり前になってますが、その風潮の先駆けと言ったところでしょうか。

 私には何種類か「数年おきに読み返す」漫画があります。「いただきます!」などがその筆頭ですが、この「ベイビーステップ」もその内の一作です。

魅力5:キャラクターへの愛情

 女性作者による大ヒット作品といえば何と言っても「鬼滅の刃」があります。

 特徴は沢山ありますが、本編とは別の書き込み部分などにみる「キャラクターへの愛情」が印象的です。

 このごろの「なろう」作品でも軽視されがちな「修行」をしっかりやる作品でもあるんですが、作者の「炭治郎(主人公)はちゃんと修行しないと強くなる子じゃありません」というコメントが印象的です。まるで母親視点ですね。

 男性作家だってキャラクターへの愛着はそりゃああります。

 しかし、やっぱり「ベイビーステップ」のそれはちょっとレベルが違うんですよね。お着換え企画とか、「もしも」企画とか、キャラクター同士の架空のSNS上でのやり取りとか、まるで「公式二次創作」です。

 どうやらこの「距離感」が苦手な男性読者は多いみたいで、「大きく振りかぶって」のアニメ版を見た私の弟の印象は「BLにしか見えない」とのことでした。

 基本的に女性作者が描く男のキャラクターが女性的なパーソナリティを持ちがちなのはある程度は仕方がないでしょう。

 思春期の女の子同士の「距離が近い」のは共学校で学んだ男性や、女性読者には説明するまでもないでしょう。

 ただ、問題は全く同じ調子で男の子を描いちゃうことで、「普通の男の子同士のやりとり」が女性キャラの見た目を変えただけになっていたりします。なるほどこれがBLの正体なのかもしれません。

 しかし、題材がテニスという「個人競技」であるため、「ベイビーステップ」はそれらの要素から上手く逃れえていると思います。

魅力6:日常生活の描写がしっかりと描写されている

 男性が描くスポーツものの特徴として「プライベートが描かれない」ということがあります。

 あれだけのヒット作である「スラムダンク」にしても、主人公の桜木花道の父親が少し登場するくらいで、プライベートはほぼ分からないのです。

 しかし「大きく振りかぶって」や「ベイビーステップ」は全く逆で、むしろ「プライベート」の描写が濃厚です。

 家族どころか「知り合い」「親戚」まで大勢登場します。

 「大振り」は高校野球がモチーフなのですが、「保護者会」みたいなのでわいわいと「お母さんたち」が一緒にご飯作る場面とか。

 何しろ全てのキャラクターに「母親」を設定する高校スポーツ漫画なんて少年漫画ではまず見かけません。

 「柔道部物語」などでは確かに一瞬出て来たりしますが、完全に「そっくりキャラ」というギャグ場面ですからね。

 合宿場面も「部活スポーツ漫画」の定番展開ではありますが、男女作家の差がモロに出ていて面白いです。

 何しろ「ベイビーステップ」では主人公とヒロインの両親の飲み会の場面まであります。家族ぐるみ!?

 高校野球なんかは「地域のもの」ですから、馴染の焼き肉屋に提供してもらったお肉の話とか普通に出て来るんですよ。

 ぶっちゃけ男が最も苦手なのはこの手の「しがらみ」なんですよね。面倒くさいじゃん。

 だからこそスポーツ漫画は男にとっては一種の「ファンタジー」になっちゃう。漫画の中くらいは「しがらみ」を忘れて自由に思いっきりやりたいですからね。

 しかし、女性作家についてはそうした「所帯じみた事」を描くのは全く抵抗が無いどころか、嬉々としてやっちゃうところがあります。

 この辺は小さいころに「怪獣ごっこ」をやっていた男の子と、「おままごと」をやっていた女の子との違いなのかもしれません。

 スポーツ漫画の多くの一般読者は男性なので、この辺りが「女性が描くスポーツ漫画の大ヒット作」が出ない原因だったりするのかもしれません。

 そういう「わずらわしい場面」を読まずに済みますからね。

魅力7:「心理(学)描写」、スポーツ科学の描写が興味深い

 女性作家による緻密なスポーツ漫画と言う意味では双璧と言える「大きく振りかぶって」と「ベイビーステップ」ですが、不思議なことにどちらも「スポーツ心理学」によるモティベーション管理の方法が出てきます。

 どういう訳か男性作家の描くスポーツ漫画にはついぞ登場したのを見た覚えがありません。「テニスの王子様」あたりが気にするとも思えませんが、それ以外のリアル系でもそれほどは。

 「魁!男塾」よろしく欄外の解説で出て来るくらいではなくて、それを学んだチームメイトがお互いに手をつなぎ、目をつぶって呼吸を合わせ、お互いの手の暖かさを感じながらリラックスする回で連載1回分使わないでしょ?

 「ベイビーステップ」に特徴的なのがやはりこの「心理学描写」ですね。「心理描写」じゃなくて「心理学描写」。

 ルーティーンは有名になりましたがその他にも沢山出てきます。

 また、スポーツ科学も大量に登場。アメリカのメジャーリーグのファンなら「アイソメトリックス」を思い出してもらえば結構近いです。

 凡百の少年漫画であれば「実力で叶わない相手」には「気合で勝つ」展開にするでしょう。

 これが今も昔もスポーツ漫画が人気の理由です。

 普通に考えれば勝てるわけがありませんから。

 これに対して、「ベイビーステップ」は「勝てる様になる」ことで勝とうとするわけです。全くアプローチが違います。

 間違いなく「実際に勝てる」のはこちらでしょう。

 ただ、それは男性が描く「少年スポーツ漫画」では敵役の思考です。

カイミ
カイミ

たしかに!敵が緻密な特訓をしていて、主人公が(お金がないので)自然の中で鍛えて、最後には気合いで勝つ、みたいな・・・。

 「ロッキー4」の科学的トレーニングの申し子であるソ連の敵ボクサー「ドラコ」に対して、ナチュラルトレーニングと亡き親友への「思い」で向き合うロッキーの構図と言えばお分かりいただけるでしょう。

魅力8:ギスギスしないラブコメが魅力的!

 忘れていましたが、ちゃんと恋愛模様も描かれます。

 そちら方面に耽溺しすぎることなく、あくまでもスポーツ中心。でも一途に思い続けて「恋のライバル」すら登場しない二人に幸あれ!ですね。

 こういうのが読みたいんですよ!

 試合が大事なのにライバルがどうせ引っ付く可能性ゼロなのに意地悪してきて…とか本当にいらないですからね。マジで。

 そういういらん展開は一切なし!

 このスポーツバカップルを(・∀・)ニヤニヤしながら読めるのも「ベイビーステップ」の醍醐味です。

 インタビューによると、ヒロインはおバカ気味の素直なキャラではなくて連載開始前はもっとギャルっぽい奔放な女の子の予定もあったそうです。

 でも「これは少年漫画(少年誌連載)なんだから、女の子はもっと素直で可愛い方がいい」との判断でそうなったとか。

 素晴らしい!正に私たち読者は作者の手のひらの上でゴロゴロと転がされていますね!

漫画「ベイビーステップ」は打ち切りだっかのか?

 どうしてもこの作品には「打ち切り」がサジェストに出て来がちです。

 「公式ファンブック オールAノート」の作者インタビューでは元々「プロになるまで」を描く予定だったそうです。

 それが、プロになった後も続くことになるのですがこれがまあめっぽう面白いんです!

 一番下のランクから始めざるを得ないため、誰もいない海外での試合をやってみたり、自力でスポンサーを探したり…一つ一つの行程が本当に面白い。

 ただ、確かにこの道には「終わり」がありません。

 高校の大会で「優勝するか、しないか」がゴールになってしまうタイプの漫画ではありません。プロの道は同時に「お仕事生活もの」漫画でもあります。

 奇しくも原作者が女性の「ヒカルの碁」もまた、大きな大会に敗退したところで連載は終わります。その後スピンオフが描かれ、彼らがプロとしてそれなりにやっていることが示されて終わります。

 本編は確かに打ちきりめいてはいますが、ならば「プロのアスリート」として生活しているキャラクターの人生はどこまで描けば終われるのかはよく分からないのは間違いありません。

 とはいえやはり「ベイビーステップ」のラストは、流石に尻切れトンボに過ぎます。

 ヒロインとも結ばれ、順風満帆。プロとして本格的にチームも活動を開始し、大きな大会にも出て、ちらほら顔だけは出ていた世界的に有名なプレイヤーといざ試合開始!というところで唐突に終わっていてエピローグの類もありません。

 最終巻の作者メッセージも非常に残念そうです。

 やはり打ち切りだったのは間違いないでしょう。

カイミ
カイミ

お仕事ものとしてならば、「課長島耕作」のように、少年編、プロ編、コーチ編、・・・など様々に描けそうですよね!

まとめ:スポーツ漫画の一つの到達点!!

「リアルスポーツ漫画」は「お仕事もの」として読むと、面白い!

 最後に勝つのは「根性」だ…では真面目にトレーニングしてる方はたまりません。でもそこは「少年漫画」の世界です。

 そういう意味ではこの漫画…「ベイビーステップ」に「飛躍が無い」のは間違いありません。

 だから少年漫画の文法で観るべきではないんですよ。これは「お仕事もの」なんです。

 この地に足の着いた描写は間違いなく面白いんですよ!

スポーツ漫画の一つの到達点!!

 何度でも繰り返しますが、「スポーツ漫画」の一つの到達点だと言って構わない傑作だと思います。

 全47巻という巻数や、売り上げを考えれば決してマイナーな作品なわけはないのですが、もしも存在を知らない人がいて、面白い漫画を求めているならば自信をもっておススメ出来る作品です。

 およそ「勝負ごと」に身を置く人間であれば、共感できることばかりです。

 そして、サラリーマンであれ自営業であれ、「勝負ごと」から完全に自由な人はそうはいないでしょう。

 つまり「誰が読んでも面白い」ってことです!

おまけ:妄想・・・石油王になったら何をしたいか?

 よく「石油王になったら何をしたいか」という妄想があります。

 私もいくつでもやりたいことはありますが、その一つに「ベイビーステップの作者さんに生活は完全保証、報酬も全てこれまで通り支払うから、気が済むまで幾らでも続きを描いてほしい」というのがあります。

 そうなっていれば今どのあたりまで読めたことでしょう。

 延々続くことでどんどんぐずぐずになっていく漫画はいくらでもあります。

 しかし、この作者さんなら絶対に大丈夫!と確信めいたものがあります。嗚呼!お金欲しい!

カイミ
カイミ

石油王になったら、やりたいことがいっぱいあるねぇ。

ぶらっくうっど
ぶらっくうっど

石油王には及ばないですが・・・微力ながら、ブログで紹介させていただきました!!全年齢OKな、安心して誰にでもおすすめできる漫画なのでぜひ読んでみてください!

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お絵描き好き
漫画好き夫婦の感想ブログ「遊星からのブログX」です。お絵描き好きの妻(カイミ)と、オタク第二世代&こじらせオタクな夫(BW・ぶらっくうっど)、猫2匹と暮らしています。語りたくなる漫画・映画等のおすすめ作品と、iPad、PC便利グッズなどをご紹介していきます。
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