漫画「クロコーチ」感想 ネタバレあり
感想は、ぶらっくうっどが書いてます、よろしくお願いします!
漫画「クロコーチ」こんな人にお薦め
- 「面白い」漫画が読みたい人
- 現代史の闇(例:三億円事件、帝銀事件等々)とかが好きな人
- ピカレスクロマンが好きな人
以前「エンタメ作品における悪の魅力」という記事で書きましたが、人は「悪いものに憧れる」のです・・・!
そんな「悪の魅力」満載の面白い漫画!!
決定的なネタバレはしませんけど、ラストまでの流れに軽く触れますので「何一つ知りたくない」方は是非ご覧になった後にどうぞ。
以下、ネタバレありの感想、ご注意ください!
漫画「クロコーチ」の巻数・原作者など
巻数は23巻あるけど、続きが気になり一気読みできる位の面白さ!
巻数は、全23巻とまあまあボリュームありますが、読み出すと一気読みしたくなる感じの面白さです。
原作者のリチャード・ウー先生とは?日本人??
原作のリチャード・ウー先生は、「MASTERキートン」などの脚本も手がけていた、日本の漫画原作者・長崎尚志(ながさきたかし)先生です。
長崎尚志先生は、様々な名義で原作を手がけてらっしゃいます。
作画のコウノコウジ先生の絵がストーリーと合っていて、読みやすいです。
MASTERキートン大好きなんで、どの名義の作品も読んでみたくなりますね!
漫画「クロコーチ」感想
「クロコーチ」とは?
コミックスの表紙を見ていただきたいのですが、ぶっとい眉毛に妙にいい歯並び、人をおちょくるような表情…と「萌え」から数億光年離れたこのビジュアル。
そもそも日本語として全く聞いたことも無い「クロコーチ」とは一体何のことか?
私は最初「黒(い)コーチ」かな?と思っていました。
実はこれは「人名」です。
その名も「黒河内(くろこうち)」。
そう、表紙のおっさんがその人物です。
わざわざカタカナにしたのは「ゴキブリ」の英語表記「コックローチ」に近づけたのでしょう。
なんと劇中で「黒河内」自身がそう自己紹介すらしています。
ピカレスク・ポリス・ストーリー
「史上最悪の刑事」と惹句にある通り、ゆすりたかりに恐喝や窃盗など自分の私腹を肥やすためなら何でもやる「悪徳刑事」です。
ただ、妙なもので「自分が好き放題やるため」には「基本的には警察は綺麗な組織でいてくれなくては困る」ので
自分以外の悪い刑事や政治家
を次々に逮捕する様に持っていくというキャラでもあるのです。
豊富な「現代犯罪史」もの
「三億円事件」はこれまた「一ジャンル」と言っていいほど未だに題材にした漫画、小説、映画、ドラマなどが作られ続けている事件です。
その「裏側」は当然、「クロコーチ」にも登場します。
「事件の真相」をハッキリ見せてしまう場合もあれば、曖昧に可能性を提示するだけの場合もあり、実に多彩です。
私が把握できただけでこれだけの「事件」の裏側にクロコーチたちは脚を踏み入れることになります。
・三億円事件
・警視庁長官狙撃事件
・帝銀事件
・M資金
事件の数としてはこれくらいですが、明らかに「某総理大臣」「〇〇真理教の教祖」「テロリストの✕✕」みたいな「実在の人物に元ネタがある」人物も大量に出演しますし、さらりと「下山事件」とかにも触れていて、「週刊漫画ゴラク」という明らかに「少年誌」でも「青年誌」でもない「おっさん雑誌」出身のコミックなだけのことはあります。
逆に言うと、上記の事件の何にも興味が無い人が読んでも「そういうことだったのか!」とは思えないので楽しめない可能性はあります。
豊富な知識もの
話の性質上「悪人、犯罪者」ばかり出て来るのですが、「最強の悪徳刑事」であり、上司すら強迫するので辞めさせられないという存在であるはずの「クロコーチ」すらかすんで見える「極悪人」が次々に登場します。
特に「どうやって人が人を殺すのか」の可能性の探求という意味では呆れるほど「研究」が進んでいて、それらの一部が開示されています。
よからぬ目的ではあれ、人間の知識の探求のダークサイドを感じることが出来ます。
実は正義の味方?壮大なスケール
単なる悪徳刑事の小遣い稼ぎレベルのスケールだったストーリーは、やがて「日本国の裏側の陰謀」へと繋がっていきます。
今私たち夫婦はストーリー的に続編となる「警部補ダイマジン」も読んでいますが、この作者コンビは「些細な犯罪が、大スケールに発展する」物語が得意です。
私利私欲のためだけに動くはずだった「クロコーチ」は満身創痍になりながら、誰にも信じてもらえないため自分だけが知りえた情報を元に、清家管理官などごくわずかな人間と共に「日本の平和を守るため」に奮闘することになります。
その流れが余りにも見事で、意外な結末も併せて一気に読んでしまいました。
幻の?実写版
実は深夜ドラマで本作の続きである「警部補ダイマジン」が放送され、そっちを先に見てしまいました。
その流れで「なら、前作である『クロコーチ』も読もう」ということになってレンタルで読んだのです。
そして余りの面白さにハマった…と言う訳。実写ドラマ版「警部補ダイマジン」はまだ連載継続中ということもあって、恐らく実写ドラマの続きが作られることはないでしょう。あったとしても今から更に数年後です。
ところが私はドラマ版「クロコーチ」の存在は知っていました。
確か当時は欠かさず読んでいた週刊誌に評が載っていたのです。
余り褒められてはいませんでした。
実はこの当時、女優の「剛力彩芽」が猛烈なプッシュがされており、彼女をごり押しするためになんと中心人物の一人である「清家管理官」が女性に変更されていたのです。
別の記事にもありますが、テレビ局側の一方的な勝手なアレンジの悲劇です。
「クロコーチ」を全部読んだ方ならお分かりの通り、あの話は清家管理官が女性だと全く話が成立しません。
ドラマ放送当時はまだ「クロコーチ」は連載中で、先のストーリーなんて全く分からず、「どうせ最後まで作らない(作れない)」と思っていたからこそ為しえた暴挙でしょう。
正に「時代のあだ花」といったところです。ある意味「クロコーチ」らしい運命と言えるかもしれません。
まとめ:一気に最後まで読ませる!!
一気に最後まで読ませる力作!!
何しろ膨大な知識量を要求しますし、特に序盤のコミックは割合分かりにくいかもしれませんが、一気に最後まで読ませる力作だと思います。
絵柄がちょっと独特ですし、特に「じいさんの悪人」たちはみんな顔がそっくりなので、誰が誰なんだか分からなくなりますが…まあすぐになれます。
続きが気になって、グイグイ読ませる力のあるコミック!!
ラストは意外と爽やかで読後感は良い!!
膨大な人物がお亡くなりになるため、結構殺伐とした話ではあるんですが、ラストの爽やかさなどから結構おススメ出来ます。
「事件」に興味が無い人でも、この漫画から「長官狙撃事件」とかを調べるきっかけになったりすると嬉しいですねえ。
ということで、コミックファンならおススメです!
とにかく面白いので、一気読みできる力作!オススメ!!!